この記事はスギ花粉症の舌下免疫療法【シダキュア】について解説する全3回の連載の【第2回目】です。

 
前回の記事【専門医解説】シダキュアのメリット・デメリット(基礎知識編)はこちら👆

こんにちは。たけぶちファミリークリニック院長の柄澤です。
 
前回、シダキュアの効果を定着させるためには「3〜5年の継続」が推奨されるとお話ししました。それを聞いて、多くの方がこう感じたのではないでしょうか。
 
「5年もあれば、歯列矯正を始めるかもしれないし、子供は受験。自分は妊娠・出産があるかも……。その間、ずっと続けられるの?」
 
ご安心ください。シダキュアは、人生の大切なイベントとしっかり「両立」できる治療です。今回は、特によくご相談いただく「歯列矯正」「受験」「妊娠・出産」との付き合い方について解説します。

歯列矯正を始めたら、治療は中断すべき?


最近は、お子様だけでなく大人の方も歯列矯正をされる方が増えています。結論から言うと、歯列矯正のためにシダキュアそのものを中断(断念)する必要はありません。
 
守っていただきたいルールはひとつだけです。

  • 「口の中に傷があり、出血している日はお休みする」
  • 「止血したら、翌日から再開する」

 
歯列矯正の器具を調整した直後や、抜歯をした後など、口の中に傷がある状態で服用すると、傷口から直接成分が入り込み、副作用(腫れなど)が強く出る恐れがあるためです。
それ以外の日であれば、矯正器具がついていても問題なく服用いただけます。迷ったときは、自己判断せず、まずは当院や歯科の先生にご相談ください。

「受験」を控えているなら、スタート時期に要注意!

中学受験・高校受験・大学受験を控えている方はその年の花粉シーズンより一年早くスタートしましょう。

スギ花粉の飛散ピークである2月〜3月は、まさに受験シーズンの真っ只中。
花粉症の症状(鼻水、目のかゆみ)や、薬の副作用による「眠気」「ぼーっとする感じ」は、受験生にとって大きな不安要素です。
シダキュアで万全の体勢を作りたい場合、おすすめの開始リミットがあります。
  • 中学受験なら:小学5年生の秋まで
  • 高校受験なら:中学2年生の秋まで

シダキュアは始めてすぐに最大効果が出るわけではなく、数ヶ月〜1年かけて体を慣らしていく必要があります。
 
受験の「前の年」よりさらに1年早くスタートしておくことで、受験本番の春を、症状や薬に振り回されず「ベストな集中力」で迎えられる可能性が高まります。

妊娠・出産のときは続けられるの?

妊娠・出産のときシダキュアは続けられるの?

女性にとって大きなイベントである妊娠・出産についても触れておきます。
 

  • 治療中に妊娠した場合:すでに治療を開始していて維持期(体が薬に慣れている状態)に入っていればそのまま継続することができます。授乳中も引き続きシダキュアを継続することは可能です。
  • 新しく治療を始める場合: 妊娠中、授乳中は、副作用のリスクを考慮し、新規の開始は控えていただくのが一般的です。

 
妊娠・授乳期は使える薬が限られるため、「妊娠する前に治療を完了(または安定)させておいてよかった」というお声も多く聞かれます。将来を見据えた早めの対策が、未来のママの負担を軽くしてくれます。
 

専門医からのメッセージ:

5年は「生活の一部」にする期間
5年という月日は、確かに長く感じるかもしれません。しかし、今回お伝えしたように、日々のイベントに合わせて一時的に「お休み」したり「調整」したりしながら、柔軟に続けていけるのがシダキュアの良さでもあります。
 
「来年は〇〇があるけれど、今始めて大丈夫?」
そんな疑問に一つひとつ答えるために、私たち専門医がいます。
次回、シダキュア編最終回は「部活・習い事で忙しい子のシダキュア服用術&修学旅行中のルール」をお届けします。


この記事の監修者

【日本アレルギー学会専門医】
東京都中央区のアレルギー科/小児科 
たけぶちファミリークリニック院長
柄澤 千登世
大学病院や総合病院の小児科・アレルギー科にて30年以上にわたりアレルギーの専門診療に従事。気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーからシダキュアなど舌下免疫療法まで数多くの臨床経験を持つ。

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