この記事はスギ花粉症の舌下免疫療法【シダキュア】について解説する全3回の連載の【第1回目】です。

こんにちは。日本アレルギー学会専門医、たけぶちファミリークリニック院長の柄澤です。
「来年こそは花粉症の薬を減らしたい」
「子供がずっと花粉症で辛そう…」
そんな悩みを持つ方にぜひ知っていただきたいのが、スギ花粉症の根本的な体質改善を目指す舌下免疫療法「シダキュア」です。

シダキュアってどんな薬?


シダキュアは、スギ花粉エキスを原料とした「舌下錠(ぜっかじょう)」です。
使い方は?11、錠剤を舌の下に置き、1分間保持してから飲み込みます。
 
仕組みは?:あえて少量のスギ花粉を毎日体内に取り入れることで、体がスギ花粉に慣れ、アレルギー反応を起こさないように体質を改善していきます(減感作療法)。
 
対象は?5歳以上の子どもから大人まで治療可能ですが、当院では1分間口の中でキープするという内服方法を確実に実施できるよう6歳以上をおすすめしています

シダキュアの3つのメリット

① 花粉症の「根本治療」が期待できる
一般的な花粉症の薬(抗ヒスタミン薬など)は、出ている症状を一時的に抑える「対症療法」です。一方、シダキュアはアレルギー体質そのものを変えることを目的としています。
 
② 数か月で症状が軽くなり、薬の量が減る
治療を開始して数か月後から効果が期待できるため、開始後の初めてのスギ花粉飛散のシーズンから鼻水、目のかゆみなどの症状が劇的に改善します。完全に症状が出なくなる方もいれば、「点眼薬や内服薬の数が減って生活が楽になった」という方も多いです。
 
③ 自宅で手軽に続けられる
以前の免疫療法は定期的な通院での注射が必要でしたが、シダキュアは自宅で服用できます。通院も月に1回程度(安定後)なので、忙しい保護者の方や学生さんでも続けやすいのが特徴です。

知っておきたい4つのデメリット・注意点

① スギ以外の花粉(ヒノキ・ブタクサ等)には効かない
シダキュアは、あくまで「スギ花粉」を原料とした薬です。そのため、ヒノキやブタクサ、カモガヤなど、他の花粉症による症状には効果がありません。
「スギの時期は楽になったけれど、4月後半からまた目がかゆくなった」という場合は、ヒノキ花粉症を併発している可能性があります。ご自身の症状の原因が何なのか、事前の血液検査でしっかり把握しておくことが大切です。
 
②治療期間が長い(3〜5年)
最大のデメリットは、効果を定着させるために最低でも3年、推奨として5年程度の継続が必要な点です。
最短3年で治療を終了した方の中には、症状が再発してしまうケースもあるため5年間の治療継続をおすすめいたします。
 
③ 副作用のリスク(特に開始初期)
服用後、口の中の腫れ、かゆみ、喉の違和感などの副作用が出ることがあります。多くは一時的なものですが、稀に強いアレルギー反応が起きる可能性があるため、特に初回服用はクリニックで行い、慎重に経過を見ます。反応が強い方にはアレルギー薬の併用や投与方法の工夫について個別に対応いたします。
 
④ 効果が一生涯ではない(重要!)
日本アレルギー学会の発表等では、治療終了後の効果の持続期間は概ね7~10年程度とされています。
「それなら意味がないのでは?」と思われるかもしれませんが、一度治療を完了すればその後10年近くも花粉症の苦しみから解放され、薬の服用を最小限に抑えられるというメリットは非常に大きいものです。

専門医からのアドバイス:

始めるタイミングが重要です
 
シダキュアは、スギ花粉が飛んでいる時期には治療を開始することができません。**「来年の春を楽に過ごしたい」**とお考えであれば、スギ花粉の飛散が終わった初夏から秋にかけて(6月〜11月頃)が、治療スタートのベストタイミングです。
 
「5年も続けられるかな?」「うちの子でも大丈夫?」と不安に思う方も多いはずです。次回は、*「5年間のライフイベント(歯列矯正・受験・妊娠出産など)と治療の両立ガイド」*について詳しくお話しします。


この記事の監修者

【日本アレルギー学会専門医】
東京都中央区のアレルギー科/小児科 
たけぶちファミリークリニック院長
柄澤 千登世
大学病院や総合病院の小児科・アレルギー科にて30年以上にわたりアレルギーの専門診療に従事。気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーからシダキュアなど舌下免疫療法まで数多くの臨床経験を持つ。

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